もう2月も半ばを過ぎたか。バレンタインからお雛様へ時は移る。母が言ってたことばを思い出す。「1月はいく。2月は逃げる。3月は去る」。その後も、このことばを、他の人から聞いたけれど、最初に、母から聞いたということが大きな意味をもつ。一緒に暮らした経験から、ことばの重みを実感できるからだ。母は、「隆雄、時間を大切にしなさい」ということを教えてくれたと思える。感謝だ。
人生、なかなか思い通りにいかないけれど、高校入試のあたりから、自ら目標を定めて、その目標を達成するサイクルに入った。高校入試も思い通りにはいかなかった。第3希望の高校に行かざるをえなかった。その後の人生、このようなサイクルの繰り返しだ。ここでも母に感謝だ。いい意味で放任主義であった。見守っていてくれたのだ。高校を選ぶにあたって、一切、干渉はなかった。妙な期待もなかった。父は仕事に忙しく、子供に関与する時間がなかった。
誰からも干渉されることなく、自ら目標を定めるということが大事なのだ。自分で決めて自身の責任において実行する。高校入試と同じように希望通りにはいかないが、目標達成をあきらめずに、割合でいえば、60~70%ぐらいのレベルで計画を達成していく。立てた目標を放棄したことはない。小さな失敗、小さな挫折はあったが、基本的なところでは常に目標を達成してきた。高校入試ではないが、タイムリミット、時間を定めて、目的実現のために時間を費やし、一定の時間内に一定の結果を出し、一定の達成感をえて、次なる目標を定める。
大学院を修了後、大学に職をえて、論文・本を書くことが仕事となったが、高校入試以来のこのサイクルを何回おこなってきたことであろうか。直近では、大学院生との共著、宮脇和人・細川隆雄「鯨塚からみえてくる日本人の心」(農林統計出版)で一定の達成感をえて、目下、「食べるということは自己実現だ」という本の出版に向けて、時間を費やしている。文字通り「自己実現」にむけて、生あるかぎりチャレンジ、母の教えを忘れずに時間を大切にしよう。
時間をリフレシュ、自分の気持ちをリフレッシュするために、お寺に散策にでる。川べりを歩く。桜のつぼみはまだ固い。白梅がだいぶ咲いている。花壇のラッパスイセンの香おりがこころなしか匂う。遍路橋から川面をのぞくと、コイの群れがいる。温かくなって餌を求めているようにみえる。小石を投げると、石のほうに急いでコイが集まる。時々、橋からパンくずを投げている人がいるので習性となっているのだ。冬鳥とコイたちがパンを奪いあう。あのときの冬鳥たちはもう、ここにいない。シベリアへ飛んでいってることであろう。南から、いずれ夏鳥がやってくる。
寺は時間をリフレッシュするのに最適の場所だ。いろいろな構想がわいてくる。境内には非日常的なゆったりとした時空がある。いまの時間を確認する意味から、2009年15日と日付を言って、いつものように名前を名乗って、自分流の経文、・・・・我慢だ、我慢だ、我慢だ。ちょうど、夫婦らしき遍路がやってきて、お堂に張ってある紙をみて、おばさんが、「おんこころ せんだり まとうり そわか」「これ、真言宗か」と連れ合いに聞く。
わたしは何べんもこの張り紙をみているが、いまだに、その意味するところはわからない。真言宗が密教であるゆえんだろう。梵語を表記すれば、そうなるのであろう。そもそも宗教とはわからないものだ。日常語で100%わかれば、宗教の権威・ありがたみ、宗教への依存心はなくなるであろう。人知では到底わからない神秘性があるからこそ宗教なのであろう。宗教とは不思議なものだ。
香炉の横に机があり、木のケースが置いてある。折り紙が入っている。ちょうど、女の子二人を連れた女性4人連れが鶴を折っている。たぶん大人二人も親子であろう。何を祈願するために鶴を折っているのであろうか。立てかけてある看板には「不殺生平和の折鶴」とある。香炉では男連れ二人が手で香煙を体に当てて何やら祈願している。20ぐらいの男と70ぐらいのおじいさんだ。二人ともバックパック姿である。相当の荷がはいっているようで重そうだ。若者はおじいさんに付き従っている。どこかで野宿する格好だ。ふたりは足早に去っていった。
20ぐらいの若い女性が「平成21年の九星と納音表(厄年の表)」をじっと見ている。やはり気になるのだろうか。身体健康、家内安全、商売繁盛、諸願望成就、・・・・幸福を呼び、不幸を取り除いてくれる神秘的な神仏が存在する場所、庶民それぞれにとって、心が落ち着く時空、それが寺・神社なのであろう。アメリカの金融危機に端を発した世界不況の折、先行き不透明感が強まるなかで、占いがはやっている。とくに男の中高年が多く来るようになったと、どこかの新聞に書いてあったなー。世の中、浮き沈み、よい事もまたやってこよう。
祈りはつづく。遍路もつづく。灯篭の上で、猫が目を閉じて、寝ている。俳句でも詠んで、時間をリフレッシュするか。自己実現に向けて、チャレンジだーー。